バナナ茶漬けの味

東京でバナナの研究をしています

2023-01-01から1年間の記事一覧

二〇二三年十一月の日記

11/1 ここ三週間くらいの文学フリマの準備をしている。正確には文学フリマの準備のなかにいるといったほうがいいかもしれない。大きく見れば準備をしているといってもいいのだが、平日はもちろん、土日も準備をしていない時間のほうが長いので、準備のなかに…

二〇二三年十月の日記

10/1 図書館で借りた『愚か者同盟』を、家にいるときに少しずつ読み進めている。国書刊行会の本のご多分に漏れず非常に重量感のある単行本のため外出時には持っていけない。そのため家にいるときは『愚か者同盟』、外に出るときは講談社文芸文庫の『ワインズ…

二〇二三年九月の日記

9/1 夜になってから家の外を少し歩いてみるとほんのり涼しくて、これが九月か、と思ったが、しかしよく考えてみるとそもそも数年前までは八月の夜もこれくらいのものだったような気がする。だから今日の夜のちょっとした涼しさを秋のものとして捉えてしまう…

二〇二三年八月の日記

8/1 昼頃に大雨が降った。オフィスから見えるあたり一帯にあっという間に雲がかかって、「ああ、これは降りそ」くらいでもう降り始めた。少し離れたところのビル群は跡形もないほどに見えなくなってしまった。ここ数週間晴れすぎていたことを逆説的に思い起…

二〇二三年七月の日記

7/1 散々っぱらいわれているだろうが湿気がやばい。というかそもそも雨が降っているので湿気がやばいのは当たり前ではあるのだが、雨が降っていることによる湿気という以上に空気の一粒一粒が湿り気を帯びていて、雨によって湿気が増しているというよりは、…

二〇二三年六月の日記

6/1 あらゆるものの値段が上がっている。昼休みにコンビニでチョコボールを買ったら百円近くした。昔って一箱六十円くらいじゃなかったっけ、そういえばマックのハンバーガーも昔六十円だったじゃんね、いまいくらか知ってる? ……三十五億。 6/2 まさかこん…

二〇二三年五月の日記(自選)

五月の日記から自選してまとめます。日付は省いています。 *** へえー、この時間でもけっこう外明るいんですね、といえる季節。五月も中旬以降になるともう暑くなってきて、日が長いことにたいする意外性がなくなってしまい、それに梅雨に入るので、そも…

二〇二三年四月の日記(自選)

四月に書いた日記のなかからいい部分を自選してまとめます。日付は省いています。 *** すべてを白っぽく光らせたような〝四月〟すぎる天気だったため、病み上がりとはいえ外に出ざるをえない。同居人が病院や歯医者に行くのに合わせて外に出て、待ってい…

逆上がりを盛り上げろ!

クラスのみんなが逆上がりを成功させていくなかで、一度もできていないのはとうとうゴロコちゃんと志の輔くんだけ。ゴロコちゃんには逆上がりのメカニズムがどうしても理解できなかった。志の輔くんはシンプルに腹筋がかなり弱かった。しかし生まれながらの…

小指に風

河川敷の空気は澄んでいる感じがする。半分乾いたような草のにおいも、川の流れも、向こうの陸橋を走る電車の乾いた音も胸に迫ってくる。それらをまとめて、苦しくなるほど吸い込むのがジゴロウは好きだった。苦しさのなかにこそときおり生の実感が宿る、と…

ホラーチャーハン(Horror Chahan)

ものごとがもっとも美しい状態にある時間というのは存外短いものだ、という話の流れでナデヒコくんが鼻を鳴らしながら発したのが「百年経ってもパラパラなチャーハンがあったら、怖いだろ」という台詞だったが、ハミスケくんによると、百年経ってもパラパラ…