バナナ茶漬けの味

東京でバナナの研究をしています

日記(11月17日)

  ネットフリックスで『バスターのバラード』というオムニバス西部劇を観た。パソコンの小さな画面でコーエン兄弟の新作が観られる時代だ。

 すごく皮相的に言うと、死ぬことについての映画だった。

 人は意外にあっさり死ぬし、うまく逃れたかと思いきや結局死ぬし、自分ではどうにもならないことで死ぬし、いつのまにか死んでいたりする。

 

 オムニバスの4話目にトム・ウェイツが出ていた。トム・ウェイツは素晴らしいミュージシャンだし、とてもいい俳優だ。

 今回の映画ではもう70近いトムさんがガッツのある独り者のじいさんの役をやっていて、僕は彼がゼエゼエ息を切らしスコップで穴を掘っている姿を見ながら、彼が昔歌っていた“I Don’t Wanna Grow Up”という曲を思い出した。

 

www.youtube.com

 

 この曲が入った“Bone Machine”というアルバムは1992年に出ている。気の抜けるようなパーカッションとゲロゲロ声を中心に構成されたアルバムだ。

 80年代からオルタナティブな活動を続けてきたトム・ウェイツは、90年代に入って、ニルヴァーナら若いオルタナティブがバカ売れしているのを傍目に、どんな気持ちでこのアルバムを制作したのだろうか。すでに40代に突入していた彼が歌った、「おとなになんてなりたくない」というロックソング。

 

When I'm lyin' in my bed at night

I don't wanna grow up

Nothin' ever seems to turn out right

I don't wanna grow up

How do you move in a world of fog

That's always changing things

Makes me wish that I could be a dog

When I see the price that you pay

I don't wanna grow up

I don't ever wanna be that way

I don't wanna grow up ...

 

 僕の調べたところによれば、というかウィキペディアによれば、このミュージックビデオはジム・ジャームッシュが撮ったものだそうだ。それも、『コーヒー・アンド・シガレッツ』の撮影の前日に! このバカ騒ぎみたいなビデオを撮影して、翌日疲れ果てたまま撮影現場に現れ、

「タバコをやめてよかったよ。やめただろ? だから堂々と吸える」

 と名台詞を吐くトム・ウェイツ

 

 金塊を求めひたすら土を掘り返す70近いトム・ウェイツはとても若く見えた。一方、僕はもうすぐ24。

 24⁉