日記(4月12日)

新しい元号が発表されたその瞬間に僕らは平成のことなんてきれいさっぱり忘れ、頭のなかはその新しい元号と来たる新時代のことで埋め尽くされてしまうのではないだろうか。 5月1日を待つことなく、気持ちのうえではすっかり新元号へと移行してしまうのではな…

日記(3月31日)

…………そうこうするうちに3月31日になる。明日になったら新元号が発表される。平成から新元号へと切り替わるときより、むしろ今日のほうが平成最後の日だという感じがする。明日の昼前くらいに政府の誰かが白い紙を持って登場して、新しい元号はこれです、なん…

日記(3月24日)

春から、恵比寿駅とガーデンプレイスを結ぶ「動く歩道」をパトロールして、「歩く歩道」と言いまちがえている人を取り締まる仕事に就く。恵比寿駅と目黒駅のちょうど中間くらいのところにひとり暮らしをする。 昨日と今日であらかたのものを運びおえて、もう…

日記(2月21日)

アマルコルド、ざらざら、ワールドツアー ・『フェリーニのアマルコルド』を観た。なんと! 3月12日までGyao!で無料で配信してくださっている。 gyao.yahoo.co.jp ・なんとも不思議な映画だ。イタリアのどこかにある小さな港町に暮らす人々の、とある一年間…

日記(カヤホガ)

僕が最初に自分で買ったCDは、R.E.M.の『グリーン』というアルバムだ。といっても、そもそもこれまでそんなにCDを買ってきた人生ではなかったし、この『グリーン』だって古本屋で300円くらいで買ったCDだ。 僕が最初に自分で買ったCDは、だなんて高らかに話…

日記(2月5日)

散歩もいいが、たまにサイクリングするのもたまらなく楽しい。自転車で都内を走ると途端に冒険アドベンチャーになる。しかし車どおりの多い道をサイクリングするのはやはり少し怖くって、方角になんとなくあたりをつけながら、裏道へと逃げてみる。 大通りの…

日記(1月25日)

高層マンションが西日をモロに浴びてそびえている姿が好きなのです。 周りの建物は低くて、辺り一帯ではそのマンションだけ突出して高かったりすると、なおよい。この写真の場合、隣にそれなりの高さのマンションが写ってしまっているけれど。 周りの建物は…

日記(1月3日)

大晦日や年越しの瞬間や年始一発目にどんなものを聴くかとか、観るかとか、読むかとか、そういうことって現実的には些末に過ぎないのかもしれないけれど、個々人にとっては予想外に悩ましい問題であったりする。そんなことって別に何の意味もないじゃん、み…

2018年よかったもの

2018年よいと思ったものを列挙してゆきます。備忘録として…… ・2018年よかった新作映画、ベスト10を挙げるなら、 『ファントム・スレッド』 『ROMA』 『スリー・ビルボード』 『きみの鳥はうたえる』 『寝ても覚めても』 『君の名前で僕を呼んで』 『ア・ゴ…

日記(秋から冬にかけて)

映画や展覧会を観に行って、その行き帰りで音楽を聴いて、家についたらベッドにゴロンと横になって、いや~よかったなあ、すげえなあ、なんてつぶやいて、でだいたいそのまま、何がどうよかったのかきちんと言語化することなく生活に戻っていくのだけれど、…

日記(11月17日)

ネットフリックスで『バスターのバラード』というオムニバス西部劇を観た。パソコンの小さな画面でコーエン兄弟の新作が観られる時代だ。 すごく皮相的に言うと、死ぬことについての映画だった。 人は意外にあっさり死ぬし、うまく逃れたかと思いきや結局死…

日記(最近)

夏前くらいからいくつかの小説を読んで思っていたことがあるので、メモを残しておきたいです。世の中の文章は実感を伴ったものと実感を伴わないものに分けられるような気がしますが、今回は実感を伴った文章についてです。実感を伴わない文章ももちろん素晴…

日記(8月19日)

晴れ。涼しめ。 このところスティーヴン・ミルハウザーさんの『エドウィン・マルハウス』(河出文庫)を読み進めている。 少年が少年のことを語る伝記文学であるというところ。語られる対象であるエドウィン少年ではなく、むしろ語り手であるジェフリー少年…

梅雨の文

いやなこと 私は雨の日に外を出歩くのが好きじゃない。雨って、屋内から見ている分には情緒にあふれていて好きなのだけれど、外に出るとなると話が変わる。何がいやかって、濡れるのが。傘のへりからズボンに落ちてくる雨が、つま先に染み込んでくる雨が、傘…

ためらい

すっかり春! 友だちに返そうと思って二万円を持って家を出たけれど、寝てしまってるのか、なんか他に用事でもあるのか、それとももしかしてブロックされちゃったのかしら、とにかく連絡がつかず、しかしフットワークの重いことでお馴染み、この僕がせっかく…

De Niro

はあ。疲れたね、なんか。 疲れたの? 疲れないよ。何にもしてないじゃん。 そうだな、疲れてないな、言われてみりゃ。 * アンタさあ、どうすんの? 映画。 うーん? どうするって? 今からなんか観に行く? 違うよ、映画どうすんのって。撮るんでしょ、映…

2017年よかったもの

2017年いいと思ったものを発表します。メモ程度ですが…… ・2017年一番印象に残っている色、映画『ムーンライト』のブルーです。 ・2017年一番かわいかったもの、フジロックでビョークが連発してた「アリガットゥ!!」です。 ・2017年最も良かった短編映画、『…

バナ男の人生

へえ、ご実家、バナナ園なんですか! すごい! 彼に出会った人はみな感嘆した。すごい! すっげえ! 大したもんだ! マジっすか! ヤバいっすね! へえ! ほお! グルーヴィ! 表現は様々だったけれど、みな一様に大きな声を上げ、身を乗り出した。日本に暮…

僕らとバナナ

我々の日常とバナナとの不思議な関係を巡るいくつかの語り。 木曜日のこと ホームで吉祥寺行きの電車を待っているときナオコから電話がかかってきた。アケミさ、今度の日曜って空いてる? アタシとユミとエリカちゃんでバナナ祭りに行こうと思ってるんだけど…

バナナ・ボム

店に警官がやってきた。私は法律書コーナーの埃をはたきではらっているところだった。 警察です、と彼らは言った。背が高く胸を張った男と、背が低いうえに猫背の男の二人組。内側にひどく窪んだ眼と、息も吸えなさそうな鉤鼻からは、正義感のかけらも感じら…

あこがれ

小学校に入り、学年が上がっていくにつれて、だんだん身の回りのあれこれが見えるようになってきた僕は、自分の住む町に少しネガティブな感情を抱きはじめた。もしかしたら自分の住むこの町は、この世界においても第一線級につまらない場所なんじゃないか。…

納涼について

暑い! あーあ。今年も失敗しました。今年もまた、僕らは、夏を僕らのものにすることができませんでした。今年もまた、浴衣姿で汗ばむあの子や、ぬるくなったサイダーや、ほかに誰も乗っていない電車の窓から見上げる入道雲を、僕らは掴み損ねてしまいました…

『ひよっこ』について

『ひよっこ』(http://www.nhk.or.jp/hiyokko/)、ねえ。良いですよねえ。最近の朝ドラじゃ一番じゃないかなと思うわけです。有村架純は作品に恵まれている感があるし、良い女優になってきた感もあります。 さて、このドラマの良さについていくつか考えたの…

写真について

へえ、俺の若い頃の話を聞きたいの? あ、そうなの、大学で研究してるんだ。うーん、じゃあ、今でもいい? じゃあ今から話しちゃうね。あ、お茶いる? あ、いらない? えっと、そうだなあ、何から話そうか。まずは、そうだなあ、当時の東京に暮らしてた俺ら…

遅刻はよくない、という話

遅刻はよくない、という話をしよう。 『プリーズ・プリーズ・ミー』 1963年春、ビートルズの一作目のアルバム。歌の内容は、だいたい「カノジョがどうしようもなく好きなんだ」や「キミはたまらないよ」なんてこと。ジャケットは、どこかのビルの吹き抜…

みんみん蝉

「絶対UFOが出る」って言いはる友だちと二人でめちゃめちゃはしゃいで遠くまで見に行った夏の日の帰り道

対話1

暑くなってきたねえ、最近。そうだなあ。もう夏なんだねえ。そうだなあ。 おいらもたまには外の空気を吸いたいんだけど、いいかねえ。いやー、よかないよ、なるべく我慢するようにしてくれよ。冗談だよ、おいらだってお前を困らせるようなことはしたくないよ…

コーヒーについての問題

僕:このコーヒーうまいなあ。 識者:そうかな? どうもコクがないように思えるけどね。それに、キミね、一口にコーヒーと言っても実にいろいろな種類があるのだよ。そもそもキミは、コップに一杯のコーヒーが作られるまでにどんな過程をたどっているのか知…

ちぢれ毛

ブックオフで谷川俊太郎の『二十億光年の孤独』を買った。 僕は文庫108円の「た」のコーナーにいた。おそらく谷崎潤一郎か誰かの本を探していたのだけど、谷崎潤一郎みたいな文豪かつヘンタイの本がそんな108円なんかで叩き売られているはずはなかった…

科学のすごさ

一般論としても体感としても科学の発展のスピードはすさまじい。僕が意味もなく上野公園を散歩している間に世の科学者たちはそれぞれの構想を練っているのだろうし、僕がちょっとかがんで靴ひもを結んでいる間にさえ、世界中のありとあらゆる研究室で何かし…